第296話

マルシャン家の電話番号を手元に置いたまま、三日もただ眺めていた。ようやく受話器を取ったとき、掌はじっとり湿り、崖から飛び降りる直前みたいに心臓がやたらと速く打っていた。

イヴェインなら、向こう見ずだと言っただろう。アシュトンなら、そんなことは不要だと言ったに違いない。けれど私には、これが次の一手だと分かっていた。

出たのはフランソワーズ・マルシャンだった。最初は温かい声で、丁寧ですらあったのに、レア・ロペスの名を出した途端、空気が凍りついた。

「どうしてあの子のことで私に電話してくるの?」刃物みたいに鋭い声が返ってきた。

「お伝えしなければならないことがあります」私は言った。「それに…...

ログインして続きを読む